黄色い部屋の謎
- 作者: ガストンルルー,Gaston Leroux,宮崎嶺雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/01/31
- メディア: 文庫
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十角館の殺人に出てきた、ルルゥの元ネタの作家ですね。
本の説明に、『密室殺人と意外な犯人』と書いてあったので、なんとなく犯人の察しがついてしまいました。
もうミステリは何の説明もいらないのではないかと思うのですが、それはそれでどの本を選べばいいのかわからなくなってしまうので……。ジ・レ・ン・マ。
しかし、叙述トリックは全く前知識なく騙されたいものなので、「もう一度読み返したくなる」「最後の一行に騙される」系の煽りは絶滅してもいいんじゃないでしょうかね!
たびたび話題に出すイニシエーション・ラブなんですが、きっと叙述トリックの最たるものを目指して作られたものなのじゃないかと考えるようになりました。
ミステリと銘打たれた作品を読む際、必ず頭によぎるのは叙述トリックの可能性。
一人称だと怪しいし、正式な個人名が出てこない・地の文でもあだ名で通される人物がいれば怪しいし、探偵はまず怪しいし、などなど。叙述トリックに騙されたいのに、叙述トリックの可能性が微塵でもあればひたすら疑いながら読んでしまう。
その原因は、その本自体がミステリというジャンルだからこそじゃないかと思うのです。
その点イニシエーション・ラブは、最後まで恋愛小説なので、疑う余地がないのではないでしょうか。
しかし、だからと言って叙述トリックにはまりたくて恋愛小説を読むつもりはない。毛頭ない。
それなりにネタバレになりますが、光野先生の新作は全く疑わずに読んでいてだまされたので、なかなか面白かったです。
ラノベミステリに対しては、あまり穿った読み方をしないのでまだ叙述の入り込むすきはあるかもしれない。
黄色い部屋の謎は、1907年の作品だそうです。
フランスの文学などほとんど読まないせいか、文章を読むのに精いっぱいであまり内容が頭に入ってきませんでした。
ホームズの長編もそうですが、古い作品って世界観がわからないので……。犯行の動機とか、あまり釈然としないですね。
面白くなくはないですが、消化するのが難しい作品でした。
ルールタビーユ台詞ながすぎ。