完全なる首長竜の日

完全なる首長竜の日 乾緑郎


映画が公開される前に読み終わったのですが、気付けば一ヶ月前じゃねーの。

えっと、なんかセンシング?とかそう言う感じでした。フィロソフィカルゾンビ的な?
最近読む小説の中に哲学的ゾンビがよく出てくるので、(流行ってるんですかね)完全に使いこなせるようになりたい。

植物状態になった患者とコミュニケート出来る医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により意識不明の弟の浩市と対話を続ける。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いに、浩市は答える事なく月日は過ぎていた。弟の記憶を探るうち、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こり——。

文章が上手くなるには写す事が一番だと聞いたので、表紙裏を写してみました。表紙裏は作者の文じゃないから意味ないですね。

内容を忘れつつあるのでお茶を濁していましたが、この辺で。
淳美の周囲で起こる不可思議な出来事、というのはSCインターフェースを使って患者の意識に潜る事(以下センシング)をしている世界と現実世界の境目が曖昧になっていく、というようなことでした。
結構序盤から曖昧になっていき、最終的などんでん返しに繋がっていきます。

もう一度読み返すと、一人称視点の叙述ものなのに嘘が一切書かれていない事に気がつきます。
淳美があることに気付かないまま勘違いをして物事を見ているのに、そこを明確には描写していないんですよね。すごいなーと思いました。
あと、小説が始まってから新たに現れた登場人物に全てきちんとした理由があったりとか、漫画の原稿を書いているシーンが一切なかったりとか。

幻想的な世界観且つ、完璧に組み上げられたロジック。面白かったです。
映画では浩市が主人公で、淳美が恋人になっているようですが。
しかし、映画版タイトル、こんなにカッコいい原題なのに「リアル」って。バスケ漫画みたい。