ハサミ男

ハサミ男 殊能将之


これもかなり前の話ですが、殊能将之先生が亡くなったと報じられた次の日にハサミ男を買ってきて読みました。

読書と平行してネット上で訃報をいくつかよんでいたら、とんでもないネタバレを読んでしまいました。
普段はネタバレを読んでも、本文が面白ければいいので気にしないのですが、この作品は素直に騙されていたかったです。

世間をにぎわす連続殺人鬼、「ハサミ男」。その犯人が主人公です。
何故か成績の良い女子学生を殺すのが好きな主人公が、3人めの犠牲者を出そうとするところから物語が始まります。なんと犯人側!
しかし、狙いをつけていた女の子は誰かに先に殺されてしまいます。しかも、「ハサミ男」の犯行に見せかけて。

まず、本当のハサミ男である主人公が死体の第一発見者になるところから秀逸でした。
主人公は精神がおかしく、毎週末自殺未遂を繰り返しているのですが、その描写がリアルで興味深かったです。(作者が実際にやったのかと思ったほど)
途中まで主人公サイドの話だけですこしだらけましたが、警察サイドの視点が入って来てから一気に読みすすめる程面白くなりました。
今までにないミステリとして、確立されているものがあると感じました。

それだけに、訃報はとても悲しいです。
ファンの方々が嘆く気持ちがよく分かりました。もっと作品が読みたかった。
(しかし、読んでる最中は作者が亡くなった事も忘れて物語に夢中になっていました)

とても面白かった。
読んで損はないと思います。