玩具修理者

玩具修理者/小林泰三


「完全・犯罪」や「アリス殺し」などのタイトルを知っていたので、作者の方はSFとミステリを混ぜた話を書く方だと認識していました。
著書はホラーの方が多いですね。この本がデビュー作で、それからしばらく角川ホラー文庫で作品を発表されていたよう。
Wikipedia見て知ったのですが、お名前は「やすみ」さんなんですね。ずっと「たいぞう」と読むのだと勘違いしていました。

著書を読むのは初めてでしたが、表題作の「玩具修理者」はどこかであらすじを聞いたことがあります。
いつもサングラスをしている「彼女」と、それを問いただす「わたし」の会話を中心に話が進んでいきます。ほとんど「彼女」の語りですけど。
「彼女」が不必要なまでに生々しい描写を挟んでくるので話が長くなり、結末までに時間がかかるので、読んでいるほうは「わたし」とともにじらされてしまいました。
そして、なんとなく予想がつく結末にもかかわらずラスト数行で二回程捻りを入れて来たのは感動しました。
玩具修理者の名前がクトゥルフっぽかった。

この本には二作収められていて、表題作は結構短く終わってしまいます。
二作目の「酔歩する男」はSFホラーとでもいえばいいのか。
意識と時間についての話でした。みんな大好きシュレディンガーの猫
登場人物たちが実験のせいでおかしくなるのですけど、傍から見たら狂人にしか見えないという。
そして、恐らく精神疾患を患っても同じような状態になるのではないかと思って恐怖を感じました。

これもオチに捻りが聞いているのですが、ごにょごにょ。
同じ本にまとめなければいいのに!