さよならソルシエ

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)


さよならソルシエ 穂積

式の前日の作者さんの連載作品。
二巻でさくっと完結していたので買いました。

少女漫画、色々と読むのですが刊行が遅いので完結を待たずにドロップアウトしがちなのです。

有名な画家、フィンセント・ファン・ゴッホの弟、テオドルス・ファン・ゴッホを主人公に据えた作品。
驚く事に一話の段階では兄が画家のゴッホである事は微塵も出てきません。ただの頭がいい変人画商としてのテオドルスを書いています。
なかなかトリッキーな話運びで、テオドルスの兄に対する気持ちも愛情なのか憎しみなのか判別付きにくいままめまぐるしく話は進み
二巻中盤でフィンセントが死にました。

ええええええええ!!!!!!

驚いたのもつかの間、そこからが作者の真骨頂(であると私が思っている)どんでん返しが始まります。
フィンセント・ファン・ゴッホが出てきた時は「あれ? ゴッホってこんな人だっけ?」と思ったものの物語にのめり込むうちにすっかり忘れていた違和感。最終話一話前に急にその違和感の原因をさらりと解決していきました。

「式の前日」でみせた素晴らしい短編の手腕を、二巻分にそのまま膨らましたような作品でした。
短編だとここまでの物語を描く事は難しかったでしょうし、これ以上長くしても最後のどんでん返しの美しさが際立たなかったと思います。本当にちょうどいい長さでした。
自己プロデュースの才能があるんでしょうね。
(私の最近の目下の悩みが自己プロデュース力のなさについてです。話は変わりますが、自分を見せる事に長けている人のほうが、作品の見せ場などを自然に判断して読みやすく面白いものをかけるのではないかと考えています。作家になったあともコミュニケーション能力高く仕事がうまくいきそう。ほらあの人とか、あの人とか)

あ、後この作品、表紙めくると微妙に絵が変わっていて、一巻の表情の変化なんかはなかなかよく考えられてるなーと思いました。
持ってる方はめくって見てはいかがでしょうか。

穂積さん、次回作にも大きな期待をよせています。面白かった!